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著作権

 

テクニックとはいえませんが、権利関係についても最低のことは把握しておく必要があるでしょう。
コンペで落選したはずのポスター・チラシ・パッケージデザインが、なぜかコンペの3ヶ月後に、JRの新宿駅構内にわーっと張り出されるという著作権侵害された事件がおきたこともあり、著作権利については少々調べてみました。権利を侵害されない、そして侵害しないために現在までに判決のあったケース弁護士などへのヒアリングの情報をもとにまとめています。

 

●デザイン、コピーにおける権利とは何か。

著作物のもつ著作権はいくつかの権利に細分化されれいる。

著作物のもつ個性を維持する権利を人格権、コピーされない権利を複製権、といえば法的定義に近いだろう。つまり無断で使用したりすることは著作権全般の侵害であり、一定の手続きを踏んでも無断で著作物の内容を変更したりすることは人格権の侵害となり、勝手に複製品を販売することは複製権の侵害になる。
より確かな法的な定義については関連のサイトを参照することをオススメする。調べて見るとかなり興味深い情報や凡例がたくさんあるが、まだケースバイケースで確定的な状態ではないので流れをおうことが重要になる。

※文化庁がわかりやすく紹介している。(2015加筆)

で、グラフィックデザインのレイアウトや色指定だけでは著作権利を主張するのは難しい。またコピーライティングにおいても限られた文字数のなかで独創性を訴えることのできる文字列にすることも難しい。

現在の日本で著作権を主張しやすいのは ロゴマーク、キャラクター、メインビジュアルなどのビジュアル類。コピーについてはいかに個性を認められるライティングかであるか、が争点になっているようである。ということは、誰が書いても要点が似通う取材記事ではなかなか著作物としての成立は難しいとも思えるが、論文まで行くとそれは確固として著作物になる。

キャッチコピーなど独特な短文であれば著作物として成立する可能性もある。弁護士に聞くと「実は、<そうだ、○○へ行こう>なんてのも京都の部分を書き換えると侵害扱いされるかも」という。北海道の人気みやげの登録商標をパロった商品も問題になっていましたね。気軽にパロディに手を出すのは控えたい。

もし、創作したつもりだったデザインや文章が、すでに公開されている作品と似通っていた場合、これが偶然の一致か、悪意による一致なのかでは訴訟に発展することもある。問題を抱えた場合はまず、法律扶助センターなどに相談するといいでしょう。

​●著作権者の許可だけでは使えないルールもある

さて、厄介なのは美術品だ。過去に世界的作家の作品を複数紹介する印刷物やウェブの仕事をしたけど、現在の著作権管理者の許諾だけは使用することはできず、作品を所蔵する美術館や個人に許可をとらないといけない。 たまたま深い関係者のとりなしで問題なくスムーズだったけど、著名作家の作品の扱いには、法的な問題のほかに仁義を通す、、という美術界独特のルールにも配慮したい。

●使える素材集と使えない素材集
現在出回っている大半のものは著作権は全面的にフリーのものが多いが、ときおり下記のようなものがあるので注意してほしい。
・風景写真、建物は権利自由だが人物についての肖像権はフリーではない。

・非営利目的利用は無料だが、営利目的利用では有償になる。
・印刷配布枚数により(枚数が多いと)別途費用が発生する。 

●自分で撮影した写真なら自由に使えるか?肖像権とは?
まだまだ論議の途中であるこの問題だが、被写体として人物の特定ができるものや無許諾の企業名が写っていなければ、使用しても差し支えないとされている。しかしいつ訴訟がおきても耐えられるよう、ほんの少しでも個体識別できる可能性のある写真に関しては使用しないのも最近の流れである(数年前までは企業名の入った看板などが写っていても景色の一部としてとらえられていた)。
つまり自分で撮ったのだから写真の著作権は 自分にある。しかしながら被写体には被写体の肖像権があるため、結果的には自分で撮ったからといって100%自由には使えるわけではない。弁護士に聞くと、肖像権は法的には「プライバシーの侵害」かどうか、肖像による営利を妨げていないか、で判断されるという。
この問題はまだまださまざまな展開を遂げる可能性もあるため、情報収集していくことが重要。

●著作権切れなら自由に使えるのか

よく美術館で見かける竹久夢二作品のしおりや、セザンヌ作品のクリアケースだが、あれらは作者没後50年の著作権保護期間があけ自由に使えることによるものだ。縁もゆかりもない作者の作品でも権利が切れれば使える、というモラル的には少々問題も感じるところだが有効利用したい。しかしながら、作者の意図を尊重することや、遺族のいる場合は利用方法に配慮したいところだ。

※2018年12月のTPP協定の関係で著作権保護期間は、没後70年、個人でない企業や組織が出版する物は公開後70年となった(2019加筆)
計算法はやや複雑だ。2018年12月29日時点で50年の保護期間が終了していたものは保護期間は延長されない。2018年12月30日時点で保護期間が50年の満了を迎えていないものは、そのまま70年に延長される、となる。

文化庁がとってもわかりやすーく解説しているので参照されたし。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_chosakuken/1411890.html

●著作権保護期間の一部特殊な例

保護期間には特殊な例もある。私の調べたところでは、以下二点過去の仕事でぶち当たった。

<旧陸軍測量部が作成した地図 現国土地理院管理>

軍事資料としてつくられた古い地図類は、著作権法よりも測量法での保護が優先されるとのこと。

<戦時加算>

敗戦国である日本。著作権利用でも影響がある。戦争により断交されていた期間を保護期間に加算するというもので、年数は対象国ごとにことなっているので要確認。

●買い取りと貸与
イラストを制作した場合に多い問題だが、制作当初にそれは買い取りかどうかを確認しなくてはいけない。大手企業の場合にはチラシ用イラストがそのままパッケージになり、コマーシャルにでてしまうケースもあるので最初の取り決めが重要だ。

2008.12.15

2015.11.20 加筆

​2019.01.22 加筆

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